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夢幻音界・別館
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2016/10/25 (Tue) 00:00
テッド誕生祭ラストのPV、ScapegoatのPV解説です。


大まかなストーリーイメージは、とある研究所で生まれたテッドさんとイアたんが出逢って恋をするけれど研究者達に引き離される、という物語です。
テッドさんはただの実験対象だった。
そしてイアたんはその引き金になるために選ばれた子供だった。
すべて研究者達の望む結果を出す為に二人の心は利用されたのです。


で、始まり。
イアたんが研究所に連れてこられた所。
まだ幼かったイアは何も知らずに研究者に連れられてこの場所にやってきた。
新しいお友達に会わせてあげる、みたいなそんな感じに連れてこられたんじゃないかな。
本当にただ純粋に「おいで」って言われたからついてきた。そんな感じ。
ちなみに歌詞でテッドさんが歌ってる『羽』はイアたんの事です。


テッドさんは研究所で産まれ、育てられた。
今まで自分以外の子供を見た事が無く、そして研究者達以外の人間をしらない。
大きな部屋でいつも一人。自分が観察対象で有る事も知らないまま、ずっと生きてきた。
そんな風に過ごしていたある日、研究者達がイアを連れてくる。
何もなかったテッドさんの世界に色を付けた。テッドさん自身をイアという夢で塗りつぶしてしまったんですね。


イアが選ばれたのは『誰より純粋な子供』だったから。
綺麗な心を持った少女が彼等には必要だった。
『少女』でなければいけなかったのは、最初からテッドさんとペアにする為です。
一人で生きてるあの獣にメスを与えてみたらどうなるのか?そんな実験に二人は使われたわけです。
イアは綺麗なままでいなければいけなかった。
その心がどう移り変わっていくのかも大事な研究対象だったから。
イアたんは何も知らないまま、研究者達の言葉を信じ、言われるまますべてを捧げてしまうのです。




そうして子供から大人へと変わっていくその時間を、二人はずっと一緒に過ごした。
というかずっと二人きりで生活させられたというか。
どんな時でも一緒だった。お互い以外の異性を知らないまま、二人は大きくなっていくのです。
ちなみに小さいテドイアが手を繋いでいるのに、大きくなると手を離してしまうのは二人の心境の変化なイメージ。
今では気軽に手も繋げない。恋をした所為で今までと同じ距離ではもういられなくなってるんですね。
大きくなれば欲は増える。それに二人は染まっていく。


この辺は歌詞のまんま。
大人になる課程で自然と様々な欲求は増えていく。
欲しいと思う気持ちと、望まれて返す喜びと。それをずっと繰り返してきた二人はどんどんその闇に落ちていく。
テッドさんの黒い翼は欲の塊。悪い物を取り込んで彼はその黒い翼を広げてしまうのです。
ついでに言うとイアたんが押し倒されてても別に驚いた顔もしなければ拒絶もしないのは同じ気持ちをイアも持ってるからです。
二人は合わせ鏡のようになってしまった。そんなイメージ。


恋心を自覚してからずっとテッドさんはイアを見てた。
自分の中で膨らんでいく欲望を感じながら、それでもイアを汚したくなくて必死にそれを押さえ込んでた。
『君をけして汚さないように 何度も消しゴムをかけるけど』って歌詞そのまま。
イアを汚したくないから何度も何度もこの恋を諦めようとしてたのです。


で、それはイアも同じで、イアもずっとテッドさんを見てた。
まだこの頃は両片思いみたいな状態で、互いに好きな事は言ってなかったし知らなかった頃。
テッドさんを好きだと思う気持ちは日増しに強くなっていく。
想いが募れば募る程、振り向いて。好きになって。抱きしめて、って欲求も当然強くなっていくのです。
『きっと傲慢な黒をしてる』はイアの気持ち。
自分が幼かった頃の純粋さを失い始めているのにも気が付いてる。



まだ恋心さえ理解出来なかった幼い頃。ただ一緒にいられるだけで幸せだった。
二人で手を繋いではしゃぎ回ったあの頃は、何もお互い望んではいなかった。
ただただ純粋に大好きで、真っ新な気持ちでお互いを見つめてた。
ある意味、この頃が二人にとって一番幸せだったころなんじゃないかなぁ、なんて妄想。



けれど二人の想いは当然監視してた研究者達に知られてしまう。
テッドさんの羽根になるように与えられたイアだったけれど、その心が欲に染まってしまったと、この実験は失敗だった、と二人を引き離してしまうんですね。
イアは必死に抵抗するけれど、敵うわけもなく無理矢理連れて行かれてしまうんです。


そうして研究者達はテッドさんを責めた。
イアは大人しくて自分から何かするタイプでもない。つかそう言う少女を彼等は選んだから。
だからこそ、彼女を染めたのはテッドさんであり、テッドさんが汚れてしまったからイアまで汚れてしまった、と言うわけです。
『お前が悪い』と責められたテッドさんだったけれど、それは別に彼にとってどうでもよかった。自分が汚れた自覚はあったから。
けれど許せなかったのは自分からイアを引き剥がした事。
ただ二人で一緒にいさせて欲しかった。ただそれだけの願いを彼等は許さなかった。
つかこの頃はすでに両思いにまで発展してる頃だったので、引き剥がされる事を二人とも拒んだんですよね。
連れて行かないでくれ、一緒にいさせてくれって何度も願ったその気持ちはすべて無視された。
そうして置き去られたテッドさんに残った物は自分からイアを奪った彼等への強い『憎しみ』。





極彩色イコール血の色、という解釈。
憎悪を滾らせたテッドさんはその気持ちのまま、自分達を引き裂いた研究者を手に掛けてしまうんですね。
自分とイアの間にある障害。それを排除する。ただそれだけ。
歌詞の『汚れた黒』ってのはテッドさんの憎しみ。それを隠してしまうかのように彼の身体は血で赤く染まった、そんなイメージ。
なので自分が殺した研究者を見下ろすテッドさんもそんな表情。
ちなみに影にしか見えてないけど手に持ってる凶器はラストに出てくるあのナイフです。
つかどうでも良いことなんだけど、何度聞いても『ごくさいしょく』に聞こえるのよね……でも『ごくさいしき』だよね……と悩みながら音取りしてた思い出。





でイアたん。
彼女もまたテッドさんと同じように研究者達に憎悪の感情しか持ってなかった。
あんなに拒んだのに自分からテッドさんを引き剥がした。
でも力のないイアたんにはテッドさんみたいに強硬手段に訴える事は出来なくて、ずっと機会を伺っていたのです。
階段の上で。研究者の油断をついて突き落とした。死んでもいいとさえイアは思ってた。
だってこの人達がいなくなれば自分はまたテッドさんの所に行ける、そう思ってたから。
だから落ちた研究者を見るイアたんの顔は酷く冷たいんですね。
『貴方が悪いのよ。私からテッドさんを取るから』みたいなそんなイメージです。
罪の意識など、この時のイアたんには欠片もなかったのです。
余談ですが最初のプロットでは突き落とす場所は階段じゃなくて屋上でした。モデルの都合……げふんげふん


テッドさんはその後、何人も殺していった。気が付いた時には両手は真っ赤に染まっていて、このままではイアを汚してしまうって気が付いたテッドさんは必死にその手を洗うんです。
テッドさんにとってはイアだけが大事だった。イアだけは汚したくなかった。
この時はイアたんがまさか人を殺してるだなんて知らなかったから、自分だけが血で汚れてるって思ってたんですね。
けど、どんなに手を洗ったとしても、その掌から見えない血は落ちてくれなくて。
だからテッドさんの表情もちょっと泣きそうな、そんな感じ。


で同時にイアたん。
階段の下に落ちた研究者は全く動かなくて。あぁ、死んだんだ、なんて思ってたけどその事実がじわじわと襲ってくる。
欲求を満たす為に自分は人を手に掛けた。イアたんは自分のことしか考えてなかった自分に気が付いて、こんなに汚れてしまった、と思うんですよ。
こんなに汚れてしまったらテッドさんに嫌われてしまうんじゃないかって。
テッドさんが同じように誰かを殺してた、なんて知らないから。
次にテッドさんに会えた時、彼に触れるのが少し怖い、みたいな。彼にこんな自分を知られてしまうんじゃないかっていう。


でも。そこから動けずにいたイアたんをテッドさんが見つけて、優しく抱きしめてくれるんですよ。
イアが研究者を殺した事は当然テッドさんも知る。でもそんな事よりもイアを抱きしめたかった。彼女の気持ちもわかったから、その想いごと抱きしめてあげたかった。
大丈夫だよ、俺がいるよって。


幼かった時分。二人とも汚れてなんかいなくて。もうそれは遠い遠い過去の事になってしまった。
夢や希望に溢れていて、綺麗な物ばかりに囲まれていて。
そんな頃にもう二人は戻れない。




テッドさんの腕の中でイアは泣くんですね。
泣きやまない彼女を抱きしめながらテッドさんは思うのです。
どうしたらイアの涙を止められるのか。ずっと泣いてばかりで笑わなくなってしまった彼女に何をしてあげられるのだろうか、と。


そしてテッドさんが選んだ道は自分の翼を自ら切り落とす事。
研究者達を殺していったナイフを自分の身体に突き立てた。
すべてはイアの為。自分が何より大好きだった真っ白なイアの笑顔を想いながらテッドさんは自らの命を絶ってしまうのです。
この辺がずっとテッドさんのソロなのは彼の台詞だから。




テッドさんのそんな行動に驚いたイアは悲鳴をあげてパニックになるんだけど、そんなイアにテッドさんは優しく言うんですよ。
歌詞にある『僕がすべての黒になるから』って言う。
すべての穢れを俺が持って行くよ。お前はもう悲しまなくていいよ、って告げるんですね。
嫌、って。死なないでって必死にイアが叫ぶけれどテッドさんの耳にはもう聞こえてない。
置いていかないでって叫ぶイアの声さえも。


『次の僕に会えたら 次は夢のような白を描こう』
最後の歌詞はある意味テッドさんの遺言。
一緒になる事は叶わなかった。この恋を成就させる事は出来なかった。
もう一度イアと出会える事を夢見てテッドさんは力尽きるのです。それをイアはただ見ている事しかできなかった。
もう一度この研究所でテッドさんは産まれてこれるのかもしれないけれど、イアにとっては目の前のテッドさんだけがテッドさんで。
貴方しかいらない、貴方じゃなきゃ駄目って思うわけですよ。


そんなイアたんの目に映ったのがテッドさんが自分を刺したナイフ。
愛した人がもういない世界に未練などなく。置いて行かれるくらいなら、とイアたんはテッドさんの血が付いたナイフで同じように自分を刺すのです。
つまり後追いしたと。

そんな救いのないバッドエンドな物語でした。
いや、きっと生まれ変わった二人がまた出逢って、今度こそ幸せになってくれるさ!
きっとね!!

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