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夢幻音界・別館
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2017/02/27 (Mon) 21:00

あみだ企画第二弾です。






最初のシーンは物語の始まり。まきなちゃんがテッドさんの封印を解いた所から。
ある事情でテッドさんはその場所に封印されていた。腹に突き刺さった剣は彼を眠らせるためのもので、それを引き抜いたのがまきなちゃん。
そしてその剣は娘にしか抜くことができないのでした。




封じられていたテッドさんを解放したまきなちゃんはそれからずっとテッドさんと一緒の時間を過ごすのですが、テッドさんがそれを望んだのです。
何故なら彼にとってまきなちゃんは『獲物』でしかなかったから。
逃げられては困るので、ずっと傍に置いていた。
私を見た貴方まるで熱いマタドール』この歌詞の通り、マタドール(闘牛士)がテッドさん。




そんなテッドさんにまきなちゃんは恋をした。
というか逃がさないためにテッドさんが彼女を誘惑したというか。
甘い言葉をずーっとずーっと囁き続けて、彼女の心が自分から離れていかないように。虜になるように。
そこに情など全くなかったのだけれど。
きらびやかに舞い踊れば高鳴る胸 二度と来ない刻の色を染めるエピソード
その歌詞通り、まきなちゃんにとってテッドさんとの恋はたった一度だけの大切なものだった。


テッドさんがまきなちゃんを傍に置いておきたかった理由はただ一つ。彼女を『盾』にするため。
封印が解かれた事に気付いたカイトがまた彼をふうじこめにやってくる。
けれど天使のカイトは『か弱き者』である人の娘に危害を加えられない。だから絶好の『盾』になるわけです。
恋をしたまきなちゃんは全身でテッドさんを守ろうとする。彼女を傷つける事が出来ないカイトはただ見ている事しか出来ない。
すべてテッドさんの思うつぼ、というわけ。




手出しが出来ないまま、まんまとテッドさんに逃げられてしまうカイトだったけれど、見送ったその表情が悲しげなのは彼にも事情があったから。
カイトの本当の目的はテッドさんを封じる為じゃない。親友だった彼を救うため。
遠い、遠い昔に起きた悲劇をカイトは知っているから。その悲しみを未だにテッドさんが抱えつづてけているのがとても悲しかったのです。




そしてカイトはテッドさんからまきなちゃんを引きはがすために説得に入る。
どんなに恋をしても彼女の想いはテッドさんに通じない。
ここも歌詞のまま、カイトは願いを叶えるために進み、まきなちゃんはテッドさんとの『恋』という『夢』を見ていた。



まきなちゃんの恋が叶わない理由は一つ。テッドさんは昔の恋人を忘れていないから。
一瞬だけ出てくるこのシーンはテッドさんが『堕ちた』理由。だからまだ羽根が白いのです。
昔、テッドさんはカイトと同じ真っ白の翼をもった天使だった。けれど恋人が殺され、その憎しみと悲しみですべてを呪うようになってしまったのです。



テッドさんは恋人を奪った『世界』を憎み、滅びを望んだ。
すべてを焼き尽くす炎はまだ彼が恋人を愛している証。それを知ったまきなちゃんは見るたびに自分の想いが彼に届かない事を痛感するのです。
どんなに愛していると囁いても、どれだけ抱きしめても、彼の心には届かない。彼が愛しているのはたった一人だけ。
それが酷く悲しかった。


すべてを知ったまきなちゃんは悩み続けるんですね。
『悲しみ知るほど潤う 月は今日も輝く ひらひら揺れながら』はまきなちゃんの気持ち。
ひらひら、ゆらゆら、揺れる恋心。


テッドさんの癒えないままの傷。そのまま放置すれば世界が滅ぶ。
だからカイトはテッドさんを封じなきゃいけない。テッドさんの力に対抗できるのはカイトだけで、だから何度もテッドさんの所にやってくる。
テッドさんも封じられるわけにはいかないとバトルになるわけです。


そうしてまきなちゃんが下した決断。それはカイトの言う通り、再びテッドさんを封じる事。
自分ではテッドさんを癒してあげる事は出来なかった。
彼を救うことは出来なかった。


こっそり持ち込んだカイトの剣。
実はこの剣自身がカイト本人で、テッドさんの傍に近付くためにまきなちゃんに持って行かせたのです。
テッドさんに警戒されないように、その隙をつくために。






目論見通り、まきなちゃんだけだと油断したテッドさんはカイトに気付かず、接近を許してしまう。
まきなちゃんがナイフを刺す直前にカイトは具現化し、彼の腹に剣を突き刺した。
具現化したのは彼女に『封印させる』という罪をかぶせないため。恋心がまだ残ってるまきなちゃんに『自分がやった』と思わせないためです。
彼女はただ巻き込まれてしまっただけだから。


けれど、封印される直前。テッドさんはまきなちゃんをまっすぐに見て手を伸ばした。
今まで一度だって彼女を見た事はなかったのに、最後の最後でテッドさんは本心を見せたんです。
愛してくれたまきなちゃんにテッドさんも惹かれてた。最後の最後でその顔を見せてくれた。
そしてテッドさんは知りたかった。まきなちゃんが自分を騙して封印しようとしたのかと。
まだ彼女が自分のことを愛してくれているのかと。




当然まきなちゃんは未練があるので躊躇いなくテッドさんの手を取った。
まだあなたを愛している、と想いを込めて。
それを聞いたテッドさんは安心して再び封印の眠りに落ちていったのです。

少女が開けてしまった封印の扉は、少女の手によって封じられた、そんな物語でした。



で、補足。
封印の剣がカイト自身なわけですが、その為カイトも一緒にテッドさんと封じられている事になります。
だから剣を抜けばカイトもまた目を覚ますわけなんだけど、そこからテッドさんの所に来るまで時間が経っています。
カイトの願いはテッドさんの心を癒すこと。だからその候補となる女だけが封印を解けるようになっているのです。
娘がテッドさんを癒す事が出来るかどうか。それを見ていたと。
二人をずっと見ていたけれど、テッドさんの破壊行動は全く収まる事はなく、この子では駄目だったのか、とカイトがやってきた、というわけです。

ちなみにテッドさんが封印される事になった事件を語っているのはここ
【テドイア】天の冠 - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1085401

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